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本物を見る

今日は定休日ですが、撮影があり渋谷まで。
  
同じスタジオで花の方の撮影が1時間おきにあるとのこと。
  
私の後に何人もの大御所が続いていて、
いつまでもペーペーの私は少しでも緊張を和らげようと、
朝一番を希望して9時半からの撮影でした。
  
 
後から来た人が待っている、、、という図は、
私にとっては相当なプレッシャーですから、
とにかくとっとと撮影をしていただいて、
荷物を車に運ぶと、なんと!まだ11時前。
  
 
  
 
 
次の仕事まで、あと3時間はあります。
  
ふふふ。
以前から気になっていた東急Bunkamura での
「ラファエロ前派展」を見に行っちゃおー!ということで。
  

 
この写真は「写真OK」のミレイの作品のパネルです。
 
  
 
 

 
パネルなのに、このドレスの質感!
シルバーの絹のドレスにベルベットの赤のリボン!
美しい、美しすぎます!
本物はもっともっとすごいです!
 
  
 
 
 
実は私の大学での卒論テーマは
「青木繁とラファエロ前派」でした。
  
 
青木繁を主に書こうと思っていたのですが、
どうしても関わりのあるラファエロ前派が気になって、
そちらを調べていたらあまりに壮大で切りがなく、
もうシッチャカメッチャカな論文になってしまいましたが、
それでもなんとか卒業できたので、まあよしとしましょう。
 
 
 
あの時代(30年ほど前ですね、いやだわ〜)、
なにかを調べる時、資料は本しかなかったのですね。
 
今みたいにネットがあったら、
そして、こんな風に世界中の絵画が常に日本に来ていたら、
どんなに卒論は楽だったでしょうか。
 
ロセッティとかミレイなんて、
あの頃はあまり日本ではメジャーじゃなくて。
 
バーンジョーンズとか、ウォーターハウスとか、
本当に美しくて大好きでした。
 
 
美術館に足を運び、
図書館にとにかく通って、
国会図書館も何度も行きました。
 
  
 
 
ラファエロ前派の作品の多くが、
リバプール美術館にたくさん所蔵されていることはわかっていたのですが、
あの頃の私にはヨーロッパってとってもとっても遠くて。
 
そういう意味でもイギリスは私の憧れの地でもあったんです。
 
 
 
というわけで、そのあとの仕事もあったので、
長時間じっくりとは行きませんでしたが、
何度も私が見たいと思っていた作品は生で見ることが出来まして、
こんな時代が来るなんて、本当に幸せなことだと思いました。
 
  
 
 
ミレイの「林檎の花咲く頃」という作品は、
生で見るとその林檎の花のたわわな感じや、
髪飾りの美しさに目を奪われます。
  
 
職業柄、どうしても植物が描かれていると、
しっかりとその細部まで近づいてみる癖がついてしまって、
今回も異様に林檎の花に近づく私でしたが、
他の草花たちも本当に美しくて感動的でした。
 
 
林檎の花と言えば、「赤毛のアン」の中で、
プリンスエドワード島に初めて到着した時、
林檎の花のトンネルをくぐって、
うわー!って感動するアンの様子が描かれていて、
とっても印象深かったのです。
 
林檎の花って一斉に咲くと、
天使が舞うくらい幸せに感じるんだろうなと、
幼い頃から思っていました。
  
あらら・・・
脱線しました。
 
  
 
 
Bunkamuraのプロデューサーは、
大学時代に博物館学を教わっていた木島俊介先生で、
先生は今ポーラ美術館の館長にもなられましたが、
先生から教わった西洋美術の世界は本当に素晴らしかったのでした。
 
 
モネとかピカソとか、ゴッホなどの、
誰でも名前だけは知っているような画家のことはもちろん、
まだその頃はあまりメジャーじゃなかった
ターナーとかバーンジョーンズとかフェルメールのことも、
とにかくたくさんの世界を教えて下さいました。
 
当時、まじめじゃなかった私にとって、
その中でも楽しめる授業が木島先生の西洋美術論であり、
鹿島茂先生のフランス文学(という名の、パリの雑多な話)の講義でした。
 
 
 
卒業時には学芸員の資格も取れて、
どこかの美術館にでもお勤めできたらいいなぁ、
そして、誰か素敵な人と結婚して、
新婚旅行にヨーロッパで美術館巡りできたらいいなぁなどと、
おどろくほどぼんやりしていた私でした。
 
案の定ぼんやりしすぎて、
美術館への就職ってどうすんのかなぁと思っているうちに
ぜんぜん別の会社に就職することになるわけで、
紆余曲折のこんな人生を過ごすとはね〜
 
 
あの頃の先生たちは、
こんなぼんやりした学生のことは覚えていらっしゃらないのですが、
もし覚えていらっしゃったとしたら、
あのぼんやりが、こんなことになってるって、
ほんとに驚くと思います。
 
あ、そうでもないですかね、
相変わらず仕事以外では本当にぼんやりなので。
  
 
それにしても、30年以上前から、
色とか質感とか、妄想とか暴走とか、
もう、そういう片鱗が自分にあったのだなぁと改めて思いました。
 
やっぱり、本物を見るって大事なことですね。
 
 
 
 
 
 
 

2016-02-23
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